スポーツをする時の正しい水分補給の方法は知っていますか?
スポーツをしているときの水分補給はとっても大切。脱水症状の予防はもちろんですが、適切に水分補給ができていないとパフォーマンスが著しく下がってしまいます。
しかし、スポーツ時の水分補給については間違った情報が多いため、何を信じたらいいのかわからない人もいると思います。
ここでは、スポーツをするときの効果的な水分補給方法を解説。適切なタイミング、水分量、オススメの飲み物まで紹介しているのでぜひ参考にしてください。
目次
1.スポーツをする時に水分補給が必要な3つの理由
人の体は、55~80%が水分でできているため、水分はとっても大切。とくに、スポーツをすると汗をかいて水分を消費するため、水分補給をするのが重要です。
運動するときに水分補給が必要なのは、主に次の3つの理由からです。
・パフォーマンスの低下を防ぐ
・怪我を防ぐ
・脱水症状を予防する
それぞれ、順番に見ていきましょう。
理由1.パフォーマンスの低下を防ぐ
運動で汗をかいて失った体内の水分を上手に補給することで、パフォーマンスの急激な低下を予防することができます。
人間の身体は、水分が2%失われるだけで運動能力が低下してくると言われています。
これは汗をかくと血液中の水分量が少なくなり、血流が悪化。その結果、脳や体へ酸素や栄養がうまく供給されなくなり、体の反応が鈍くなってしまうからです。
パフォーマンスの低下は、体の水分量が体重のたった1%低下したあたりから始まるといわれていることからも、水分補給の重要性がわかります。
- 1%の低下・・・徐々に体の動きが鈍くなる
- 2%の低下・・・喉が乾き、パフォーマンスは低下
- 3~4%の低下・・・疲れや苦しさが生じ、パフォーマンスの低下がわかるように。
- 5%以上の低下・・・吐き気やめまいが生じる。脱水の危険があり、行動困難なレベル。
喉の渇きを感じたら、すでに2%の水分を失っている状態。喉がかわく前に水分補給が必要ということですね。運動量によっては、1時間で1ℓ以上の汗をかくこともあるため、かなり意識的に水分補給するのが大切です。
理由2.怪我を防ぐ
パフォーマンスが著しく低下すると、怪我をしやすくなります。水分量が減って血液の流れが悪くなると、体に十分な酸素が回らず、酸欠状態に。ぼーっとしたりふらつくことが多くなり、怪我をするリスクが高まります。
怪我を予防するためにも、水分補給は大切です。
理由3.脱水症状を予防する
水分は体内で老廃物を排出したり、体温を調整する役割を果たします。体内の水分量ると、これらの働きが正常に行われない脱水状態となり、めまいや頭痛が生じます。
最悪の場合、けいれんや意識障害、熱中症による死亡の可能性もあるため注意が必要です。以下の症状は脱水気味のサインです。
- 口が渇く
- 尿が濃くなり、臭いがきつくなる
- 尿の回数が減る
- 肌がカサつく
- 目がくぼむ
脱水症状になると、スポーツどころではなくなるので、これらのサインが出ないようにこまめに水分補給をするのが大切です。
ここからは、適切に水分を補給するためのタイミングについて見ていきましょう。
2.水分補給がタイミングと補給量
水分補給をするタイミングも非常に大切になってきます。前述したように、喉がかわいている状態では、すでにパフォーマンスが低下しています。
パフォーマンスを低下させないためには、適切な量の水分を不足する前に補うことです。
2-1.水分補給量の基本的な考え方
スポーツをしているときの水分補給は、「失った水分量を取り戻す」という考えで行いましょう。そのためには、運動中にどれくらいの汗をかいて水分が失われているのかを把握するのが大切です。
運動中にかいた汗の量は、次のように計算することができます。
発汗量=運動前の体重-運動後の体重+運動中に補給した水分
スポーツ時に、どれほど水分を消費しているかがわかれば、過不足なく水分補給ができるようになります。
また、水分補給は、一度に行うよりもこまめに行うのが大切。運動前、運動中、運動後のそれぞれのタイミングで、必要な水分補給を行いましょう。。
(1)運動前
スポーツをする30分前に250ml~500mlの水分を取っておきましょう。運動前に水分を摂りすぎると、胃が痛くなることもあるので、注意が必要です。
(2)運動中
運動中の水分補給は、とくに大切です。一度に大量の水分を取ると水が胃に溜まって悪影響が出ることがあります。
理想としては、15分ごとにコップ1杯(200ml)の水分を取ること。1時間で1リットル以上汗をかくこともあるので、失った水分はこまめに取るようにしましょう。
(3)運動後
忘れてはいけないのが、運動後です。理想的な水分補給の方法としては、運動前と運動後の体重差を測って、運動によって失った水分量を運動後に補給するのが良いでしょう。
3.水分補給するときに注意すべき3つのポイント
スポーツをする時に、水分補給はとっても大切です。しかし、ただ単にたくさん水を取れば良いというわけではありません。
取り方によっては、体に負担を与えることもあるので次の3つのポイントには注意するようにしましょう。
ポイント1.温度に注意する
冷たすぎる温度は、内臓に負担をかけます。そのため、キンキンに冷えた冷水は良くありません。
理想的なのは、10〜15℃くらいの温度。胃から腸への通過が早くなり、体温が上がりすぎるのを防ぐ効果も期待できます。
ポイント2.硬水は避ける
市販されているミネラルウォーターには、ミネラルが豊富な「硬水」があります。
硬水はカルシウムやマグネシウムが豊富なので、体にいいと思うかもしれません。しかし、日本人には合わずお腹を痛めたり体調を崩す可能性があるため避けましょう。
ポイント3.塩分(ナトリウム)を摂取する
水分補給で大切なのは、塩分を取ることです。体内の塩分(ナトリウム)が減少すると、ナトリウムバランスを保つために、水分が排出されます。
十分な水分を飲んでいても塩分がなければ、体内に水分が吸収されず、脱水状態になりやすくなります。そのため、水分補給をするときは塩分も摂るのが大切です。スポーツドリンクなら、体内に早く吸収されます。
4.水分補給にスポーツドリンクが最適な2つの理由
スポーツをする時に飲むべきなのは、スポーツドリンクです。 水分補給にスポーツドリンクがおすすめな理由は、次の2つです。
・ 汗で失われる塩分(ナトリウム)が補給できる
・適度に糖分を補給できる
カテキンなどが含まれていて、健康的な飲料のイメージがある緑茶ですが、スポーツ時の水分補給には向いていません。理由としては、カフェインが含まれていて利尿作用があるので、効率的な水分補給につながらないからです。
理由1.汗で失われる塩分(ナトリウム)が補給できる
日本体育協会は、水分補給に関するガイドブックの中で、「運動中には、100mLあたり40~80mgの塩分(ナトリウム)を含むドリンク」を飲むことを推奨しています。
スポーツドリンクなら、これらを効率よく吸収できるため、おすすめです。
理由2.適度に糖分を補給できる
出典:大塚製薬公式サイト
水分は少量の糖分が含まれている方が効率よく体内に吸収されます。スポーツドリンクは、適度に糖分が含まれているため、素早く体液に吸収されます。
5.最適なドリンクはこれだ!
ポカリスウェットやアクエリアスなど、スポーツ用に開発されている栄養ドリンクは、基本的にスポーツ時に適しています。
ただし、より効率よく水分を取るには運動レベルによって、含まれている糖分量を選ぶのが重要です。
5-1.激しい運動の場合
エネルギー消費が激しい場合は、糖分濃度が高い「ポカリスウエット」や「アクエリアス」がおすすめです。
5-2.1時間程度の軽い運動の場合
それほど激しい運動ではないが、気温が高くて汗をたくさんかいた場合などには、糖分が少なめのものが良いですね。具体的には、「ポカリスエットイオンウォーター」やがおすすめです。
5-3.運動後
また、運動後には、疲労回復の効果が期待できるビタミンB群が豊富に入っている「アクエリアスビタミン」がおすすめです。
6.スポーツドリンクを飲むときに注意したい2つのこと
スポーツドリンクは、「薄めた方がいい」「凍らせるべき」と、耳にしたことがあるかもしれません。
しかし結論から言うと、どちらも間違った知識です。
6-1.スポーツドリンクを薄めるのはNG
スポーツドリンクは薄めて飲まない方が良いです。なぜなら、スポーツドリンクに含まれるナトリウム濃度(塩分)も薄まり、十分に水分補給をしてもナトリウムが不足してしまうからです。
6-2.スポーツドリンクは凍らせるのはNG
スポーツドリンクを凍らせて飲むのもよくありません。まず、凍っている状態から溶かしたスポーツドリンクなので、温度が低すぎて身体に負担がかかります。
また、スポーツドリンクを凍らせると、最初に溶けた部分が濃くなり、最後に溶けた部分が薄くなります。飲むタイミングによって、得られる成分が異なるので、効率的な水分補給とは言えません。
補足:水素水に注意
最近、水素水がスポーツ時の栄養補給に良いと言われるようになりました。
しかし、水素水に「疲労回復」や「免疫力アップ」と言う効果は確認されていません。
また、塩分や糖分も含まれておらず、ただの水分と同じだと言えます。良いと言う科学的根拠は一切ないので、注意しましょう。
まとめ
スポーツをする時には、やはりスポーツドリンクで水分補給をすることが一番良いです。ただし、スポーツをする環境や運動の激しさに応じて最適なスポーツドリンクの種類は選んで下さい。
また、喉がかわいてから水分補給をするのでは遅いです。スポーツ中だけでなく、運動の前後で水分補給をすることを心がけましょう。